NetBSD 1.6.2 のアナウンス
NetBSDプロジェクトは、 NetBSDオペレーティングシステムのリリース1.6.2を 発表できることを喜ばしく思います。
NetBSD 1.6.2は NetBSD 1.6.1 以前のユーザー向けの保守リリースであり、 1.6.1に対し以下のような変更がおこなわれています:
NetBSD 1.6.2 の配布物は、完全な NetBSD のソース、X Window System を含む 40 のポートのバイナリーリリース、そして NetBSD パッケージ コレクション1.6.2リリースで構成されています。
変更点の完全な一覧は、 NetBSD 1.6.2リリースツリーのトップディレクトリーにある CHANGES-1.6.2 ファイルに一覧されています。さらに、このアナウンスの後ろの方に、 NetBSD 1.6.2における大きな変更点の一覧を記しました。
完全なソースコードおよびバイナリーは、世界中の多くのサイトに存在します。 近くのミラーサイトから、 FTP、 AnonCVS、 SUP その他の方法により、NetBSDをダウンロードすることが できます。
The NetBSD Foundation は、 NetBSD 1.6.2 リリースを Erik Reid に捧げたいと思います。彼は 2004 年 2 月 18 日の海上事故で行方不明となっており、 亡くなったものと思われます。 Erik が NetBSD にしてくれた貢献には、 SGI MIPS R4000 への対応、 XFree86 Direct Rendering Interface (DRI) の統合、ビルドラボの管理などがあります。彼の訃報は衝撃をもって迎えられ、 われわれにとって大変悲しいことです。冥福を祈ります。
NetBSD オペレーティングシステムは、豊富な機能を持つ、オープンソースの、 UNIX風のオペレーティングシステムで、Berkeley Networking Release 2 (Net/2)、 4.4BSD-Liteそして4.4BSD-Lite2の流れをくんでいます。 NetBSDは、11のまったく異なるCPUファミリーと 17のマシンアーキテクチャーをサポートし、52の異なる システムアーキテクチャー上で動作しており、さらに現在も移植作業が 進められています。NetBSD 1.6.2リリースには、40の異なるマシン向け の完全なバイナリーリリースが含まれています。
NetBSDは高度に統合されたシステムです。NetBSDは、移植性の高い 高性能なカーネルに加えて、ユーザーユーティリティー、 さまざまな言語のコンパイラー、X ウィンドウシステム、 ファイヤーウォールソフトウェアなど多くのツールを、 全てソースコード付きで含んでいます。NetBSD パッケージ コレクションは4400以上のパッケージを含んでおり、いくつかのプラット フォーム用のバイナリーパッケージリリースを現在準備中です。
NetBSDプロジェクトの目的についての詳しい情報は、NetBSD Webサ イトから取得できます。
NetBSDはフリーです。すべてのコードは非限定的ライセンスで配布され、 誰にもロイヤルティーを払うことなく利用できます。無償のサポートサービスを、 メーリングリストやWebサイトを通じて受けることができます。 また、商用サポートには様々なものがありますが、その主なものは 以下から見つけることができます。
NetBSD についてのより広範囲の情報は、NetBSDの Webサイトから入手することができます。
NetBSDは世界中の多様な開発者たちのグループによる作品です。NetBSD の名前の中の“Net”とは、インターネットに対する感謝のしるしです。 インターネットは、私達がコミュニケーションしたり、コードを共有することを 可能にしました。 インターネットなしでは、このプロジェクト自体存在し得なかったでしょう。
NetBSD 1.6.2 のリリースでは、以下のシステム用バイナリーを提供しています。
NetBSD/acorn26 | Acorn Archimedes、A-シリーズ と R-シリーズのシステム |
NetBSD/acorn32 | Acorn RiscPC/A7000、CATS、Digital Shark、EBSA-285、VLSI RC7500 |
NetBSD/algor | Algorithmics社 MIPS評価ボード |
NetBSD/alpha | Digital/Compaq Alpha (64ビット) |
NetBSD/amiga | コモドール Amiga、マクロシステム DraCo |
NetBSD/arc | Advanced RISC Computing仕様準拠のMIPSベースマシン |
NetBSD/atari | アタリ TT030、Falcon、Hades |
NetBSD/cats | Chalice TechnologyのStrong Arm 評価ボード |
NetBSD/cobalt | コバルトネットワークスのMIPSベースマイクロサーバー |
NetBSD/dreamcast | セガドリームキャストゲーム機 |
NetBSD/evbarm | ARM評価ボード |
NetBSD/evbmips | MIPSベース評価ボード |
NetBSD/evbsh3 | 日立Super-H SH3とSH4 CPUの評価ボード |
NetBSD/hp300 | ヒューレットパッカード9000/300と400シリーズ |
NetBSD/hpcarm | StrongARMベースWindows CE PDAマシン |
NetBSD/hpcmips | MIPSベース Windows CE PDAマシン |
NetBSD/hpcsh | 日立SH3/4ベースWindows CE PDAマシン |
NetBSD/i386 | 80x86ベース IBM PCおよびその互換機 |
NetBSD/luna68k | オムロンLUNAシリーズ |
NetBSD/mac68k | 68k CPUのアップルMacintosh |
NetBSD/macppc | アップルPower Macintoshおよびその互換機 |
NetBSD/mipsco | Mipsワークステーションおよびサーバーファミリー |
NetBSD/mvme68k | モトローラ MVME 68k SBC |
NetBSD/netwinder | StrongARMベース NetWinderマシン |
NetBSD/news68k | ソニー 68kベース "NET WORK STATION" シリーズ |
NetBSD/newsmips | ソニー MIPSベース "NET WORK STATION" シリーズ |
NetBSD/next68k | NeXT 68k '黒い' ハードウェア |
NetBSD/pmax | Digital MIPSベース DECstationおよびDECsystem |
NetBSD/prep | PReP (PowerPC Reference Platform)およびCHRPマシン |
NetBSD/sandpoint | モトローラ Sandpoint参照プラットフォーム |
NetBSD/sbmips | Broadcom SiByte評価ボード |
NetBSD/sgimips | シリコングラフィックス MIPSベースワークステーション |
NetBSD/shark | Digital DNARD ("shark") |
NetBSD/sparc | Sun SPARC (32ビット) および UltraSPARC (32ビットモード) |
NetBSD/sparc64 | Sun UltraSPARC (ネイティブ64ビットモード) |
NetBSD/sun2 | Sun 2 |
NetBSD/sun3 | Sun 3 および 3x |
NetBSD/vax | Digital VAX |
NetBSD/walnut | IBM 405GP PowerPC "walnut" 評価ボード |
NetBSD/x68k | シャープX680x0シリーズ |
このリリースにおいて、以下のアーキテクチャーはソースコード形式でのみ 提供されています。
NetBSD/amigappc | PowerPCベースAmigaボード |
NetBSD/bebox | Be IncのBeBox |
NetBSD/cesfic | CESのFIC8234 VMEプロセッサーボード |
NetBSD/mmeye | BrainsのmmEyeマルチメディアサーバー |
NetBSD/mvmeppc | モトローラMVME PowerPC SBC |
NetBSD/ofppc | 汎用OpenFirmware compliant PowerPCマシン |
NetBSD/pc532 | NS32532ベースPC532コンピューター |
NetBSD/playstation2 | ソニーPlayStation 2 |
変更の完全な一覧は、 NetBSD 1.6.2 リリースツリーの最上位ディレクトリーのCHANGES-1.6.2 にあります。以下は、主要な変更点です:
- pciide(4) で、Promise のコントローラーが 48 ビット LBA ドライバーを必要とする 大容量ディスクに対して DMA ができるようになりました。
- メモリーが少ない状況における安定性改良のため、 スワップ不足時のエラー検知が追加されました。
- より多くの SiS および Intel コントローラーのサポートが pciide(4) に追加されました。
- 新しい PowerBook G4 12-inch のサポートが追加されました。
- mlx(4) の安定性が改良されました。
- オリジナルの Sun4c sparc システム (SS1, SS1+, IPC) に長らく存在していた、安定性の問題が発見され修正されました。 これらのシステムに対する若干の最適化もおこなわれました。
- テープファイルに対するシークへの対応に伴い、 Sun3, Sun3x および Sun2 でテープファイルからブート可能とする余地ができました。
- USERCONF オプションが i386 カーネルに追加されました; 詳細は userconf(4) をご覧ください。
- Intel 865 および 875P チップセットについて、 ハードウェア乱数発生器への対応が追加されました。
- wdc(4) が、pre-ATA ドライブで動くように修正されました。
- マルチファンクション pcmcia(4) カード全般のサポートが修正されました。
- Linux エミュレーションにさまざまな修正が加わりました。
- rtk(4) のマルチキャストの問題が修正されました。
- fxp(4) が対応するチップの種類がいくつか、さらに増えました。
- tlp(4) ドライバーが修正され、 DEC Alpha PWS で panic しないようになりました。
- パス MTU 探索ブラックホールの検知が追加されました。
- 最近の Dell ラップトップで使われている Broadcom BCM4401 チップセット用の bce(4) ドライバーが追加されました。
- callout データ構造体を破壊する可能性のある、 ネットワークコードにおける競合状態に対応する回避策が追加されました。
- IPv4, IPv6 および IPsec 用のネットワーキングスタックのさまざまな修正が行われました。
以下のセキュリティー問題が修正されました:
- NetBSD-SA2004-004 shmat 参照カウントのバグ
- NetBSD-SA2004-003 OpenSSL 0.9.6 ASN.1 構文解析器の脆弱性
- NetBSD-SA2004-002 IPv6 経路 MTU 探索の一貫性がない取り扱い
- NetBSD-SA2004-001 racoon IKE デーモンにおける不十分なパケット検証
- NetBSD-SA2003-018 DNS の否定応答キャッシュによる汚染
- NetBSD-SA2003-017 OpenSSL の複数の脆弱性
- NetBSD-SA2003-016 sendmail - もうひとつの prescan() バグ CAN-2003-0694
- NetBSD-SA2003-015 XFree86 フォントライブラリーにおけるリモートおよびローカル脆弱性
- NetBSD-SA2003-014 sysctl(2) における不十分な引数チェック
- NetBSD-SA2003-012 sshd における境界を越えた memset(3)
- NetBSD-SA2003-011 realpath(3) における「一つ違い (off-by-one)」エラー
- NetBSD-SA2003-010 OSI ネットワークコードを使ってリモートからパニックを引き起こすことができる問題
- エラーがもとで vi(1) がクラッシュする可能性が修正されました。
- XFree86 バージョン 4 を使用しているアーキテクチャーにおいて、 XFree86 が 4.3.0 にアップグレードされました。
- scsictl(8) が新しいコマンド数個に対応しました。
- BIND がバージョン 8.3.7 にアップグレードされました。
- DHCP が、さまざまな修正が施されたバージョン 3.0.1rc11 にアップグレードされました。
- CVS がバージョン 1.11.10 にアップグレードされました。
もちろん、数えきれないほどのバグ修正やさまざまな拡張がおこなわれました。
現時点で注意すべきこととして、sysinstではあらかじめ作成された サードパーティーバイナリーパッケージやpkgsrcシステム自身を インストールできません。詳しくは、NetBSD パッケージ コレクションドキュメンテーションを参照してください。
最後に、注意すべきこととして、 NetBSD 1.6.2 に同梱される X11 バイナリーは、i386 および macppc 用のものは XFree86 4.3.0 ベース、cats 用のものは XFree86 4.2 ベース、 その他のポートのものは XFree86 3.3.6 ベースとなっています。どちらもソースから構築してインストールすることができます。
NetBSD Foundationは、コード、ハードウェア、ドキュメンテーション、 資金、サーバーの場所、webページその他のドキュメンテーション、 リリースエンジニアリング、その他のリソースを、長年に渡って提供して くださった全ての人々に感謝します。 NetBSD を立ち上げた人々についての 詳細な情報は以下の場所にあります。
私達が使っているコードの膨大なサブセットを提供してくれた カリフォルニア大学バークレー校とGNUプロジェクトには、特に感謝します。 また、サーバーを提供していただいている Internet Software Consortium とヘルシンキ工科大学にも感謝します。
NetBSD Foundation は1995年に、NetBSDプロジェクトの中核のサービスを管理し、 産業界やオープンソースコミュニティーへのプロジェクトを売り込み、 NetBSDのコードベースの知的所有権を守るために設立されました。 日々のプロジェクトの作業は、ボランティアによっておこなわれています。
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